神道には「神が事依(ことよ)さす」という言い方があります。「事依(ことよ)さす」とは「神様が人に依頼する」という意味で、神々のなされる高天原(たかまがはら)での神聖なおこないを、事依(ことよ)さされた人々が神様になり代わって行っているのだ、とする考え方です。
新しい命が宿り、生まれ、成長していくという神秘的で感動的な出来事を、私どもの祖先は「神様の成せる崇高な業」だと信じました。日本の神話にも、結婚し子を産み育てる神々の姿が何代にもわたってえがかれています。この尊い業を、神が人々に事依(ことよ)さし(依頼し)なさり、それゆえ子を生み守り育てることは、神様の代理として行う神聖なおこないだと考えたのです。「神様から命を授かった」といいますが、ほんとうは神様がご両親に命を「事依(ことよ)さしなさった」のでしょう。子を産み育てるという崇高な使命を神様から依頼された私どもは、畏れと喜びをもって神の業を真似ているのです。
神が事依(ことよ)された命の絆をつなぐという尊いおこないに、神様の御恵とともに喜びをお感じいただけたら幸いです。
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